今回の雑談コーディネートの着物は白大島紬。
◼︎雑談コーデ#80
https://youtu.be/LC2eRiEuFL0
鹿児島の益田織物|益田勇吉さんが制作された反物『渚絣』。
益田さんは令和7年度の「現代の名工」に選ばれた大島紬の職人さんです。

淡い水色、白、薄い鼠色。
少し離れて見ると、浜辺や海面をぼんやり眺めているような色に見えます。
強い柄が前へ出るのではなく、見ているうちに気持ちが穏やかになってくる大島紬です。
益田さんの出身地でもある喜界島、海の模様やサンゴ、引き潮の砂浜など。
この着物は、その風景をモチーフに制作されています。
大島紬の細かな設計を土台にしながら、緯の絣糸で波や渚のような揺らぎを見せています。
80歳になられてもなお『次はこれをやる。』と新しいアイデアを次々に持ってこられます。
以前、これからのものづくりに関する設計図を見せてもらったとき、
撮影しても大丈夫、真似できないから。
その自信に裏付けされた着物です。
一本目は光琳大波|八寸名古屋帯
最初に合わせたのは、「光琳大波」の八寸名古屋帯です。

白大島紬の渚に、帯の波。
文様は両方とも、波と波の柄です。
着物は細かな横方向へのの揺らぎに、帯は大きく流れる曲線。
同じ波でも柄の大きさと動き、性格が異なるため、違和感なく重なってくれます。
帯の地色は青を潜ませた鼠系の色。そこへ綺麗な水色の波を織で表現。
白大島の中にも、帯に使われる色が入っているため、
帯が効き色になりつつも、全体が引き締まりました。
一つ目の小物合わせは、三色ぼかしの帯揚げと、総紗縫の丸ぐけ。

帯締めには、鹿児島のタンカンを思わせる黄色を選びました。
目の覚める様な、はっきりしたオレンジ系の色が前へ出てきます。
ただ少し、黄色へ寄せているため、着姿の中に明るさを一つ加える、
そんな印象を与えてくれる色味です。
帯揚げはそれに対して、陰影部分。
帯締めの黄色を受け止める感じの落ち着きで、全体の調和と取っています。
爽やかで、少し遊びのあるコーディネートになりそうです。
二本目は輪宝文|紹巴織袋帯
次は雰囲気を変えて、「輪宝文」の袋帯です。

淡い黄色と緑系の色を中心にした帯の配色。
先ほどの光琳大波より柄が細かく、古典文様が連続するため、
着姿に格が加わった感じがします。
輪宝文は、京都の唐紙の老舗・唐長に伝わる文様です。
中心には神さまの象徴とされる輪宝。
その周りに、富を表す宝尽くし、長寿を表す亀甲、
縁をつなぐ七宝などの吉祥柄が組み合わされています。
意味が多く入った文様ですが、今見てもモダンなデザインのため、仰々しくなりません。
白大島紬の静かな地色を残しながら、黄色が顔まわりまで明るく見せてくれます。
小物は、防染糸を使った菱柄の帯揚げ
そして、紫系の鎧組の帯締めを合わせました。

最初は茶色や臙脂色を入れることもかんがましたが、
濃くすると少し重くなります。
そこで、帯締めは紫。帯揚げは青緑を選び、
袋帯の古典的な雰囲気を少し残しながら、白大島紬の水色とも繋げた
コーディネートです。
光琳大波では、波の動きと黄色の小物で軽く。
輪宝文では、細かな吉祥柄と紫の帯締めで少しシックに。
同じ着物でも白、帯を替えると見えてくる着姿は全く変わります。
着物に入っている色をそのまま拾うのか、少し離れた色を小物で加えるのか。
同じ様な共通点もありますが、今回の二組で見て頂けると、
その違いがコーディネートの楽しみになると思います。
動画上では、帯揚げと帯締めを置き替えながら、
迷っているところも、そのまま収録しています。
写真とあわせて、ぜひご覧ください。
【雑談コーデ #80】現代の名工の大島紬と帯2本コーディネート
実物の色や風合いは、画面だけでは分かりにくい部分があります。
気になる組み合わせがありましたら、ショールームやオンライン相談でご覧ください。