先日あるお客様が、愛用してくださっている帯のメンテナンスのためにご来店くださいました。
その帯は、私どもにとっても思い入れのある一本。
お持ちいただいたのは、海路ペイズリーの「八寸名古屋帯」に、あえて裏地を付けて「袋帯」としてお仕立てしたものでした。
「これさえあれば」と思える、究極の万能さ
お客様がこの帯について真っ先に仰ったのは、その圧倒的な出番の多さです。
「この帯は本当にどんな着物にも合うんです!しかも、これを結んでいると皆さんに褒めてもらえるんです。」
そう笑いながら熱弁してくださるお客様。
具体的には、以下のようなシーンで活用されているそうです。
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カジュアルな日常着に: 縞(しま)の着物や、小紋の気負わない普段のお出かけ
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お茶のお稽古に: 少し背筋を伸ばしたい、セミフォーマルに近いお稽古の場
本来、八寸名古屋帯はカジュアル寄りのアイテムですが、袋帯仕立てにすることで程よいボリュームと格が加わり、お稽古着までカバーできる「守備範囲の広さ」が生まれています。
帯締め・帯揚げで「自分らしさ」を演出
さらに、この帯の魅力は「懐の深さ」にあると教えてくださいました。
「この帯は、帯締めと帯揚げを変えるだけでガラリと雰囲気が変わるんです。今日は格好良く、明日は優しく……と、小物で遊べるのがすごく楽しい。」
最後の琳派とも呼ばれる神坂雪佳の海路図から製作したこの帯は、主張しすぎず、かつ地味にならない絶妙なバランス。
合わせる小物の色によって、季節感やその日の気分を自在に表現できるのが、長く愛される理由のようです。
手放せない理由は「結び心地」にも
また、機能面でも嬉しいお声をいただきました。
「この質感が、とにかく結びやすい。簡単に帯の形がピシッと決まるから、着付けがすごく楽なんです。」
八寸名古屋帯特有の軽やかさと、裏地を付けたことによる安定感。
この両立が、着物中級者から上級者のお客様にも支持される理由だと改めて実感いたしました。
お気に入りの一本を、より自分らしく、より長く
仕立て方を工夫することで、帯の可能性はどこまでも広がります。
今回のお客様のように名古屋帯をあえて袋帯にすることも可能です。(柄によっては難しいこともありますが…)
「お茶の席で気兼ねなく締めたい」「手持ちのあの着物に合わせたい」といった、
お客様お一人おひとりの「どう使いたいか」を伺い、スタッフも一緒になって知恵を絞り、ベストな形をご提案すること。
それこそが仙福屋の役割だと自負しています。
特に帯は、決して安価な買い物ではありません。
長く愛用していただくものだからこそ、簡単には決断できないのが当たり前です。
本当は、京都のショールームで実物の質感や色味を直接お手にとってご覧いただくのが一番ですが、遠方にお住まいの方にはそれも難しいことと思います。
だからこそ、私たちは画面越しでもできる限りのサポートをさせていただきます。
「この柄で袋帯にできる?」「私の年齢ならどんな小物を合わせるべき?」など、どんな些細なことでも構いません。
まずはスタッフに、あなたのご要望を聞かせていただけませんか?
お客様にとっての「最高の一本」を形にするために、私たちはいつでもここで、皆様からのご相談をお待ちしております。

