帯を制作・設計するとき、
最初は『お太鼓』のデザインから始まります。
前腹から先に作る、という話は今のところ聞いたことがありません。

前柄(前腹)については、
六通帯の場合はお太鼓柄の繰り返しがそのまま出てきます。
もし前腹に出る柄の位置によって、変更した方が良い場合は、
お太鼓柄の位置取りに影響することもあります。

『お太鼓部分|中野大輔の世界』
お太鼓柄・三通の帯の場合は、
お腹の柄はお太鼓とは別にデザインして制作します。

『お腹部分|中野大輔の世界』
そもそもなぜ「お太鼓」と「お腹」の2か所に
柄が分かれるようになったのか?
その原因はお太鼓結びにあります。
お太鼓結びの始まりは江戸時代後期、
深川の芸者が亀戸天神で帯の後ろを持ち上げて、
紐で結んだことが起源とされています。

明治に入って一般の女性に広まった理由は、
動きやすさと見た目の美しさ。
背中にコンパクトにまとまり、腰の位置が高く、
凛とした立ち姿になる。
実用と美しさが両立したことで、
お太鼓結びが定着していきました。
お太鼓結びが定番になると、
柄を表現する場所も「お太鼓と前腹」の2か所に決まってきます。
前柄とお太鼓柄が別々に設計されるのは、この自然な流れの結果です。

制作しながら、
当初は六通帯として考えていたものが、
途中で三通帯の方がよいと判断して、
お腹柄を新たに起こすこともあります。
作り手からすると、どちらが良いか?
ともし聞かれると少し困りますが、
六通帯がそのまま着物に綺麗にハマった場合、
偶然要素は強いですが、やはり嬉しいです。

また三通の場合は、新しくデザインを起こしていますので、
綺麗にハマってもらわないと・・・、と当然と思ってします。
だから素敵な着姿を見ると、ホッと安心をします。
着姿の顔は『お太鼓』と昔から言い正しいと思いますが、
作り手からすると、
実は三通・六通のどちらであっても『お腹の柄』については、
気になって気になって見ています。












