【五代目日記】糸の力を表に出すために|あまみーいろの八寸名古屋帯

【五代目日記】糸の力を表に出すために|あまみーいろの八寸名古屋帯

帯には、いろいろな織組織があります。

図案に合わせる。
TPOに合わせる。
季節に合わせる。

様々な事情でそれに合わせた織組織を作ってきました。

緻密な図案を織りで表現したいのであれば、紹巴織。
暑い時期が長くなり、夏や単衣を意識するなら、総紗縫や上品綟。
さらにカジュアルな帯作りということで、八寸名古屋帯、という風に

帯の背景にはデザイン以外にも様々ストーリーがあります。

あまみーいろ|八寸名古屋帯

写真の帯は、八寸名古屋帯です。西村絹織物の西村公一氏が染める、あまみーいろの糸を緯糸に織り込んだ帯です。

この帯で出したかったのは、文様そのものというよりも、糸の色です。

緯糸に通る『あまみーいろ』の糸。
その色ができるだけ表に出るように、目に色が入るように通常の異文織八寸とは異なる織物の設計にしています。

筬の打ち込みを変え、緯糸が入る量を調整し、そのための意匠図もそれに合わせて作り直しました。

ただ、簡単にはいきません。

糸を多く見せようとすると、帯の巾が出ません。風合いも板のように固くなります。減らすと、風合いがクタクタになったりします。

少し戻す。
また直す。
また織ってみる。

振り子のように行ったり来たりしながら、ちょうど良い塩梅を探していきました。この間は同じ織機でも、しばらく通常の異文織は織れなくなります。

通常の異文織

それでも、この糸を帯にするなら、そこまでする価値があると思っています。

今回の帯では使う糸は、しーぎ染めです。
グリーンを含んだグレー色。

強い色ではありません。
でも、近くで見ると、草木染めらしい柔らかさがあります。

あまみーいろの着物をつくるときと同じように、色は使いたいけれど色を前に出しすぎず、糸の持っている空気感を表現したい。

そんなことを考えながら織った帯。
柔らかな色を感じる、素朴な八寸名古屋帯です。

しーぎ染めの糸で製織

仙福屋では、となみ織物が製織する帯をOnline仙福屋でご紹介しています。八寸名古屋帯を含め、現在ご覧いただける帯はこちらからご覧ください。

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記事執筆者 / 五代目仙福屋宗介

となみ織物5代目(専務)