『先染めと後染め』について

『先染めと後染め』について

この仙福屋タイムズやインスタ、noteでも、
普通に使っている、『後染め』、『先染め』という言葉

業界的には、毎日何度も登場するこの先染め、後染め

ある反物を見て先染め、後染めを見極めるのは、
難しくありませんが、詳しく掘っていくと、かなり奥の深い言葉です。

今回は軽く触れてみたいと思います。

先染め

染めた糸で柄表現、帯を製織するのが先染めです。
名前の通り、先に染めた糸で織ること。

具体的には、図案を見ながら、意匠図に色を配置していきます。
そして色や素材が決まったら、それを機場(織手)に渡し製織していきます。

となみ織物が制作する帯の大部分は、この先染めになります。
総紗縫も異文織も、糸の色の組み合わせで柄を表現、御召、あまみーいろなど大島紬の多くも先染め。


後染め

それに対して白い糸で白生地を先に織り上げ、
その生地に、後から色や柄を描いていくのが『後染め』です。

色無地、小紋、訪問着など、となみ織物では『一楽・一結』や『あーとりずむ』『根善』がこれにあたります。使う白生地によっても、同じ白生地をでも染屋によって、職人によって、全く別の着物になります。




では、どちらがいいのか?
どちらがお勧めか?

正直に言うと、となみ織物は先染めの比率が高いため、
どうしても先染めの肩を持ちやすいです。それを踏まえた上で・・・

先染めは、糸の段階から色を積み重ねるため、
光の当たり方で表情が変わる奥行きが生まれやすいです。

ただし、柄を表現する核の部分、経糸がどう上下して緯糸がどう通るのか?
を設計する設計図、帯では『意匠図(紋図)』は一旦作ってしまうと、
修正は非常に難しい部分があります。

後染めは、白地から出発するため、比較的自由に配色をすることができ、
先染めに比べ多色を使ったものづくりをすることができます。

また、発色が鮮やかになりやすく、
ぼかしやグラデーションなど染色技法の幅が広いです。

同じ生地でも染め方次第で全く違う着物になる、
という自由度があります。

ただし、柄表現の奥行きや織りの持つ生地風合いの多様さに関しては、
先染めの方が優れている場合が多いです。


ということで、結論は着られる方、選ばれる方、
TPOによって変わり、どちらが優れているということはなく、
作り手側としては、両者を表現したいものによって使い分けていきます。





『タイル織+根善』

 

先染め+後染め

どちらかだけで作るのではなく、両方の良さを掛け合わせた帯もあります。

限定品【しぼ織+ダンマル】紅村帯(白黒) 2

たとえば紅村帯は、先染めのしぼ織を帯地として織り上げた後。
織の花弁を意識しながら、防染剤を筆で入れていき、帯へ陰影をつけていきます。

織りの凹凸と、染めの表情が重なることで、
どちらか一方だけでは出せない立体感が生まれます。

CandyCircusの名古屋帯も、織りと染めを共存させる新しいモノづくり。
先染めの帯地に手描きで染めを重ねることで、
銅版作家・舟田潤子さんの世界観を、織物の表現力と掛け合わせています。

 

先染め・後染めという分類は、帯や着物を理解する入口の一つです。
そこをベースに、実際の現場では、その境界を越えた表現を考える。
モノづくりの面白いところでもあります。

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記事執筆者 / 五代目仙福屋宗介

となみ織物5代目(専務)

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