扇子という「小さな道具」のこと

扇子という「小さな道具」のこと

4月に入り、春の陽気を感じるようになりました。
これから徐々に暖かくなり、やがて暑さを感じる季節へと移っていきます。

個人的に暑がりということもあり、手放せないアイテムが「扇子」です。
かつて、着物に扇子を持っている社員というだけで私だと特定されたという逸話(?)があるほど、常に身近に置いています。

着物に扇子はつきものですが、その役割は「涼をとる」だけではありません。
扇子は、所作や印象を整えるための大事な道具でもあります。

たとえば、ご挨拶の際。
扇子をそっと前に置くことで、相手との間に控えめな一線が生まれ、丁寧な印象を与えてくれます。


 これは、茶道にも通じるもので、古くから大切にされてきた所作のひとつです。
また、何かに手を添えるときにも、扇子があることで動きが自然になり、装い全体を美しく見せてくれます。

会話の中でも、扇子の開閉がさりげない「間」を生み、やわらかな雰囲気をつくることがあります。落語では、扇子をさまざまな物に見立てて使うことでも知られています。

私自身、仰ぐためだけでなく、気持ちを落ち着かせる意味も含めて、扇子を持っているように感じています。
このように扇子は、単なる実用品ではなく、持つ人の所作や印象を整える「小さな道具」—そのように思っています。


仙福屋の扇子の特長は、帯として用いられる『総紗縫』を使用している点にあります。
帯とは思えないほどの薄さと軽さ、そして絶妙な透け感を持っているので、四季を通じてお使いいただけます。
ちなみに総紗縫は、以前のSenpukuya Timesでも取り上げています。

一般的な扇子は、和紙などの薄い素材で作られますが、帯の生地は厚みや裏糸の関係もあり、そのままでは扇子に不向きとされています。 
しかし総紗縫は、薄く張りのある特性を持ち、熟練の職人の技によって扇子として仕立てることが可能になっています。



仙福屋の扇子は、男女兼用でお使いいただけるサイズでお作りしております。 
シンプルな無地でも制作しています。




私自身、和紙の扇子も使いますが、絹である総紗縫で仕立てた扇子は、生地にしっかりとした張りがあり、どこか安心感があります。
何より、総紗縫ならではの質感と透け感は、持っているだけで気分が上がるように感じます。
ご自身用としてはもちろん、贈り物としてもおすすめの一品です。

総紗縫といえば、角帯もご用意しております。
軽くて結びやすく、季節を問わずにおしゃれにお使いいただける一本です。 


扇子と合わせてお楽しみいただけたら嬉しく思います。

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記事執筆者 / スタッフ中村

となみ織物の中村です。