紹巴織(しょうはおり)は、となみ織物が最も得意とする織組織のひとつです。
最大の特徴は、圧倒的な緻密さ。
細かい柄を、絹糸の発色そのままに織り上げることができます。
どんな織物か
ひとつ、織物の話をします。
真っ黒の経糸に、横糸は白の糸を打ち込むと、
普通の平織りの織物はその二つが混ざって、灰色に見えます。
これを紹巴織ですると、
織り上がる織物は、ほとんど白に見えます。
緯糸が経糸を覆い隠すほど密に打ち込まれているからです。
だから紹巴織の色は、緯糸の配色でほぼ決まります。
染めた絹糸の色がそのまま表に出る。
この構造が、紹巴織の美しい発色の正体です。
無地でも4センチに約300回、筬を打つ

もう一つ、緻密さには理由があります。
紹巴織は4センチ織り進むのに、一色あたり約100回、筬(おさ)を打ちます。
柄のない無地の部分でも最低3色の糸を使うため、無地でも約300回。
10色使う柄部分なら、その数は膨大になります。
そのため、紹巴織を織る職人はこう言います。
『紹巴だけは、織れば織るほど難しくなっていく。』
極めたと思った直後に、次のレベルが現れる織物です。
もう一つ、袋帯としての紹巴織には社内の決まりごとがあります。
表を織り上げたら、間をあけずに裏を織り始めること。
そうすることで、同じ糸を使い、同じ職人が、同じ湿度・気温の中で織った表と裏。
仕立てると、元から一枚だったかのような一体感を持ちます。
→ あわせて読む:縦と経、横と緯のこと
代表的な意匠——竹林図のこと

紹巴織の意匠図(帯の設計図)は、図案を3〜4倍に拡大して作ります。
経糸と緯糸が交差する点を、一点ずつ設計するためです。
社内で傑作と呼ばれる意匠図に『竹林図』(紋番212)があります。
竹の葉一枚一枚が計算し尽くされ、帯に使える限られた色数を余すところなく回す配色。
設計を知る人間ほど唸る一枚です。
京百景や熊野古道(後日紹介予定)が「紋の長さの圧倒」なら、
竹林図は「緻密さと配色の工夫」の傑作です。
紹巴織らしい文様の緻密さです。
仙福屋の小物にも十二分生かしています。
いま進んでいるモノづくり

【中野大輔の世界】
紹巴織はもともと礼装用の帯が中心でした。
いまでは、帯の一部に偶然生まれた表現を全面に展開する実験から、
今までの紹巴織とは全く違う風合い・質感の織物が生まれ、
礼装だけでなく、オシャレや幅広く準礼装からお洒落着まで使えるものへ
広がり続けています。
実物で確かめる
紹巴織の緻密さと発色は、写真では半分も伝わりません。
京都のショールーム(予約制)で実物をご覧いただけます。
ご予約はこちらのフォームから。
オンラインショップの袋帯もご覧ください。
→ 織組織シリーズ:総紗縫について
(最終更新:2026年7月4日)













